東京高等裁判所 昭和26年(ラ)342号 決定
抗告代理人は原決定を取消す、相手方が抗告人A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、R、Sに対してなした昭和二十五年七月十五日附解雇の意思表示、抗告人T、U、Vに対してなした同年同月十七日附解雇の意思表示、抗告人、W、X、Y、Z、a、b、Qに対してなした同年同月十日附解雇の意思表示、抗告人、c、d、e、f、gに対してなした同年同月十八日附解雇の意思表示はいづれもその効力を停止する。
訴訟費用は原、抗告審とも相手方の負担とする。
との裁判を求めた。
よつて判断するに、当裁判所は抗告人等の本件仮処分の申請を理由がないものと認める。そしてその理由は以下に附加する外すべて原決定がその理由に於て説示するところと全く同様であるからこれを引用する。
即ち仮に相手方はその自ら制定した会社の就業規則に拘束せられるものとするも、本件に顕れた資料によれば就業規則による懲戒委員会規約が未だ制定されず、従来は会社側から部課長、組合側からは執行委員中の三役を以て事実上懲戒委員会を構成して諮問し実際の運営がなされて来たものであるところ、今回の懲戒解雇の対象(被解雇者)は組合側執行委員の全員であつて従来の慣例によるも懲戒される者に対して懲戒すべきか否かを諮問することゝなる結果会社側委員丈を以て諮問委員会を開きその答申を資料として懲戒解雇を決定した経過にあることが認められる。而してこのような組合側の執行委員全部が解雇の対象となるが如き場合、執行委員を諮問委員に加えその諮問委員会に諮問するが如きは公正な資料を得る為めの諮問制度の意義を達し得ない場合と考えられるから、本件のような稀有の場合にも会社は右就業規則に拘束せられるものと解することは無意義な形式論に囚われた解釈と云うべく、従て本件に於ては就業規則中の懲戒解雇につき諮問委員会の諮問を経ることを必要とする規定は適用の余地がなかつたものと認める。
よつて抗告人等の本件仮処分の申請を却下した原決定は詢に相当で本件抗告は理由がないから主文のとおり決定する。
(裁判官 渡辺葆 浜田潔夫 牛山要)